【運営コスト圧縮】プリーツ網戸の落とし穴と対処策

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開き窓の部分の網戸がプリーツ網戸になっているけれど、不具合が出るとかなり高額の費用を請求される。そもそも網戸の網だけ交換というわけにいかないってどうにかならないか?

 

 

目次
・片開きの窓のプリーツ網戸が壊れたらどうすべきか?
・引き違い窓のプリーツ網戸が壊れたらどうすべきか?
・新築時の配慮

 

 

・片開きの窓のプリーツ網戸が壊れたらどうすべきか?

 

結論、プリーツ網戸から内開き網戸に変更してしまいましょう。        
理由は、プリーツ網戸は構造上ジグザグの網戸部分のみの交換はできず本体交換となってしまうからです。内開き網戸とすれば後々の網戸のみ貼り直しが可能となる為、網が切れた場合の修繕費用が高額にならなくてすみます。
具体的には、普通にプリーツ網戸交換となると約5~6万円のところを内開き網戸の網戸張り直しとできることで5千円程度の費用ですませられることになります。あくまでイメージですが1/10程度になりますね。
ただ、プリーツ網戸ではなく内開き網戸にすることで気になる部分はあります。一つは見栄えです。これは確かに悪くなります。実は世の中の良さげな物件を見ると引違い窓と普通の網戸が設置されているものは少ないことが分かります。採光など取りづらくなりますが、見栄えを配慮して一般的に外側に網戸が出てきてしまう普通の引き違い窓は設置せずに片開きの窓を設置しているマンションがとても多いです。妻側の壁が構造上重要な壁(耐震壁)などで開口部を多く設けられないという外的要因もあるかもしれませんが、意識して世の中にある良さげなマンションを見ると一目瞭然で結構おもしろいです。

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某大手不動産会社分譲マンション

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某大手不動産会社分譲マンションその2

見栄え上、網戸が見えてしまう(内開き窓の場合、室内側に網戸が見えます)のはありますが、気しない人は全く気にしないです。こちらが内開き窓の写真です。いかがでしょうか?

 

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美的感覚ゼロの私はまったく気になりませんw

もう一つは有効スペースです。窓を開けるときはその内側に人がいるのが前提となるので有効スペースを損なうということは原則ないはずです。とはいえ、サッシの軌跡上に何か物を置く想定となるような場合は注意が必要です。例えば、キッチン出入り口で食器棚を設置する際の奥行寸法の関係で内開きとした場合に棚が網戸にあたるといったことがないようにする必要性あります。写真の場合は大丈夫ですね。

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結論 とはいえコスト面でのインパクトは大きいので、断然内開き網戸がおすすめです!

 

 

・引き違い窓のプリーツ網戸が壊れたらどうすべきか?


では引き違い窓にてプリーツ網戸になっている部分はどうでしょう?


結論 こちらはプリーツ網戸の下レールを活用し引き網戸を設置することをお薦めします。

理由は、やはりプリーツ網戸だと網戸が破れただけでもプリーツ網戸本体交換が必要でコストがかかるからです。開き窓の場合と同様ですね。建物オーナーが費用も十分かけられて見栄えを重視したいということであれば、それはそれでプリーツ網戸のままでも結構かと思います。ただ、繰り返しになりますが、後々のコスト負担はやはり大きいです。
もちろん、デメリットもあります。開き窓と同様に室内に引き網戸が見えてくる見栄えの問題もありますが、それ以外にサッシと網戸の終い(密閉性)が若干甘くなる場合があります。引き違い窓の内側に引き網戸を設置することになりますので、隙間ができて蚊が入ってこないよう確認し必要あればモヘアの設置などケアが必要かと思います

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・新築時の配慮


これまでは、建物が建った後に発生した不具合時の話をしてきましたが、新築物件においては設計段階で配慮すれば当然に後々困ることを未然に防ぐことができます。よって新築物件の図面検討時には、後々の運営コストを大事にしたい建物オーナーであれば、プリーツ網戸は極力使用しないようなサッシ形状・室内プランを選択することをおすすめします!
長年不動産に関わり、数えきれないくらいマンションを見てきた当事者だから言えるのですが、世の中には後々の運営コストまで考え抜かれてプランニングがされたマンションが本当に少ないということです。自身も以前に新築マンションに関わっていた時には
できたタイミングでの見栄え・便利さなどにしか正直目が行き届いていませんでした。もちろん自分の視野が狭かっただけで配慮できる立派な設計関係者は多くいらっしゃるかと思いますが、自分が設計に関わらない物件を数えきれないほど(どんなに少なく見積もっても300部屋以上くらいは実際の目で)見てきた経験から言っても、配慮できている物件の発生率は1%もありません。新築時からできることはやっておきたいですよね。

 

以上 プリーツ網戸の落とし穴と対処策というテーマで色々と書いてきました。

建物の一部位だけでもこれだけ語れる部分があるということで、改めて建物って奥が深いと実感しています。お困りの方には是非参考にしていただければと思います。